篠崎技術士事務所ヘッダパソコン用の画像 篠崎技術士事務所スマートフォン用の画像

  1. TOP
  2. ロボット工学と五十肩

ロボット技術で五十肩を見る!

更新日 2023年8月12日

一般の方にロボット技術を応用し、原因不明の五十肩を改善させる研究です。

レントゲン検査では全く異常が確認できない、五十肩・・・
ロボットの技術を応用すると、どの様なことが見え、どの様に改善されるのか? 症例を挙げ説明して行きます。

目次を見る/閉じる

1.原因不明の五十肩!

レントゲン検査では全く異常が無いのに、痛くて腕が上がらない五十肩・・・ 改善のため一般の方にロボット技術を応用した症例です。

1.原因不明の五十肩を改善する

原因不明の五十肩に悩む50代男性の解析です。

現状の問題点

  • 1.肩の痛みで腕が上がらない。
  • 2.痛みで寝返りもうてない。
  • 3.レントゲン検査では異常なし。
  • 4.強い薬服用で体調を崩す。

痛み止めの服用で対処したが、体調を崩し、現在は服用を中止。これと言った解決方法も無く、放置状態が続いている。

以上がご本人からの五十肩に関する悩みでした。

2.五十肩以外の症状

五十肩になってから、他の体調不良は発症していないか?症状を身体全体から知ることにより、改善法も大きく変化して行きます。

  • 五十肩になってから、めまいなどを発症するようになり、辛い毎日になってしまった。
  • 相変わらず肩の痛みはひどく、背中の張りもひどい状態が続いている。

五十肩以外にも、以上の症状があることをご本人から確認しました。

2.五十肩を改善するための課題

医療技術で原因が確認できない五十肩・・・
技術士(機械部門)として見ると、どのような発見と改善方法があるのか? 五十肩改善のための課題を挙げてみました。

1.身体の状態を確り確認

五十肩を改善するには、身体の状態をはっきり知ることが重要です。

医学的に原因不明の五十肩、医療技術ではなく、機械技術者として見るためには、どうすれば良いのか?今までにない新しい考え方 を取り入れていく必要があります。

2.肩の動きを検査する。

レントゲン検査は肩が静止した状態です。

人体は動いています。五十肩を吟味するには、現在患者さんの肩がどの様な動きをしているのか?確り把握する必要があります。

五十肩を改善するには、肩の可動域を知ることが重要。

しかし動作を測定するには高コストが想定されます。小さな治療院で実施するためには、低コストで患者さんの負担にならない測定 法が必要です。

3.五十肩を負担なく改善する。

身体の状態の確認、五十肩の動作解析だけでは不十分!

測定データを元に、どの様にすれば五十肩が改善するのか? を検討するのが、当技術士事務所の目的です。

実際五十肩になる方の年齢幅は広く、高齢の方も少なくありません。身体に負担のかからない、優しい改善方法でなければなりません 。

4.五十肩を再発防止する。

ここでの将来展望は、五十肩の再発防止!

五十肩が改善した後、今後発症しないようにするにはどうすれば良いか? 今までのデータを元に五十肩発症のメカニズム、や改善法を工学的に考察する必要があります。

五十肩に悩む方は後を絶ちません。今後は医療データを参照に、新しい改善法を生み出していく必要があります。

3.課題の解決手段

人体をロボットの技術を応用し、見て行く・・・
一番迅速に行われる方法は、人体を力学的に見て行くという方法です。

1.身体の状態確認対策

まずは身体が静止した状態「姿勢」を見て行きます。

工学で行われる力学的解析は、大きく分けて「静力学」と「動力学」に分類されます。ここでは静力学を例に挙げます。

人体の静力学的現象の一つが「姿勢」です。姿勢の解析は古くから医療で活用されていて、データも非常に多いです。

五十肩を改善するには姿勢も確認する。

上の写真は、当事務所で実施されている姿勢の解析です、左が撮影したままの画像、右が細線化処理し、身体の中心線を抽出したも のです。 五十肩の独特な姿勢は無いか?研究を進めています。

2.肩の運動確認対策

肩の可動域を確り確認!

五十肩の動力学的現象、ここでは肩の可動域を測定解析するとします。

今まで人体の動作測定と言えば、大掛かりな装置が必要でした。コストも高く、五十肩改善を目的にしている患者さんにも大きな負 担がかかります。低コストで負担の少ない方法でなければなりません。

そこで骨盤運動速手に使用されている「ジャイロセンサー」を腕に取り付け、肩の運動状態を計測する方法を採用しました。

五十肩の可動域を測定するために測定器を取り付けます。

簡単で負担なく、肩の可動域が測定可能になりました。

五十肩の可動域のデータ

患者さんにも分かりやすくグラフ化されました。この方は肩の痛みのため、腕が100度未満、つまり水平よりやや上位しか上げられ ないのが確認できます。

またこのでは挙げませんが、腕のねじり角度などを見ると、無理に腕を捻じって上げていることも確認できます。

3.五十肩改善対策

測定しただけでは当事務所の仕事は完了していません。

  • 身体のどの部分が影響を受けているか?
  • アンバランスな部分は無いか?
  • どうすれば可動域が向上するか?

データを元に改善法を決定して行きます。
当事務所が採用しているのは、経絡指圧整体による改善法です。

五十肩改善の肩甲骨指圧

今回の五十肩の方は、肩甲骨の動きが非常に悪いことが判明!上の画像の様に背中の指圧を行い、改善させます。

五十肩の改善の腕指圧

姿勢の確認より、首の曲がりと猫背がひどい状態でした。そこで実施されたのが、腕の経絡指圧整体です。背中や首の改善させるに は、必ずしも直接患部に施術するとは限りません。
腕を経絡指圧する事により、患部に負担なく症状を改善できます。

バイオメカニクス整体技研

4.五十肩再発防止対策

生活習慣も十分考慮して!

床に座り、細かい製造作業をされている今回の方、ひどい猫背の原因が職業から来ていると推定しました。 猫背は背中(東洋医学で言う心包経)に負担をかけます。胃の不調や血圧などにも影響します。めまいが発症したのも、この作業姿勢が 減ではないか?と推定しました。

五十肩改善の肩甲骨指圧

座り作業が多く、猫背になっている方に勧めている改善法です。ゴムボールを椅子の背もたれに置き、業務を実施します。腰に負担も 少なくなり腰痛防止にも繋がります。ボールは100均などで簡単に購入できます。

今後は人間工学なども積極的に取り入れ、改善方法の幅を広げて行く予定です。

4.解決手段の効果

今回の解決方法で、原因不明だった五十肩が、次のように改善されました。

1.身体の状態確認対策

五十肩が改善前と改善後の姿勢が可視化され、身体の状態が患者さんにもはっきり分かるようになりました。 そのため、自ら生活習慣を変えるように積極的に行動されるようになりました。

左が撮影したままの画像、右が細線化処理し、身体の曲がりを白い線として抽出したもの

姿勢を管理することにより、五十肩以外の問題は無いか?アンバランスな状態は無いか?工学的に考察することも可能になりました。

姿勢の解析細線化処理

2.肩の運動確認対策

低コストで五十肩改善効果確認が可能に!

大掛かりな装置が必要と考えられていた、身体の運動解析。低コストで負担の少ない測定法が実現しました。
整体前と整体後の肩の可動域も、数値で改善確認が可能になりました。

整体前後五十肩の可動域の比較

青線が整体前、赤線が整体後の肩関節可動域です。
100度付近だった腕の上がりが、140度付近まで改善されました。

3.五十肩改善対策

経絡指圧整体で負担なく改善!

姿勢や肩の運動状態より、痛みと可動域の低下原因を推定。肩甲骨と腕の整体実施で、痛みが大幅に改善。可動域も40%ほど改善されま した。

願えるも打てるようになり、めまいなどの不快症状も改善されました。

4.五十肩再発防止対策

猫背姿勢での業務を改善!

床に座り猫背状態での長時間作業を改善したところ。めまいや肩の痛みが再発しなくなりました。
胃腸の調子も改善されると期待しています。
現在は定期的に検査と整体を実施しています。

5.今後の展望と課題

五十肩で悩む一般の方々に、科学技術を応用して行く!
新たな課題に向けて、研究を進めています。

1.関節の瞬間中心を診断に応用

一般の方の五十肩改善のために、今後も科学技術を!

「関節炎を起こした肩や膝の動作解析ができないか?」
以前から研究していました。

五十肩を分析するには関節の動きを知る必要があります。

それぞれの手の位置を測定し、肩関節の回転中心を求める。

そんな時早稲田大学の鳥居俊先生が
「関節の回転運動の瞬間中心を変形性股関節症の診断に応用している。」
との情報が入りました。

鳥居先生は「人体動作の運動学」(NAP社)で、人体の関節の瞬間中心について、かなり詳しく書かれおりました。
大変参考になり早速検討させていただきました。

この方法で五十肩の関節瞬間中心を求めてみよう!と実施してみましたが、現在の環境では実施は困難でした。書物にも「測定誤差の 影響が非常に大きい・・・」と書かれていましたが、まさに誤差との戦いでした。

「どのようにすれば誤差の少ない瞬間中心が求められるか?」
今後大学と協議して実現に結び付けたいと思います。

2.今後に向けて

整形外科、整骨院などの医療にも応用したい。

五十肩の関節がどのように動作しているのか?
これらを解明し負荷のかかる筋肉を突き止め、経絡指圧による改善法を完成させる。
そして再び動作検査を行い、改善しているか確認する。

このように実施し、整体の患者さんに活かして行くのが目標です。
しかしながらまだまだ先の話になりそうです。 今後は大学や理学療法士の方と連携し、より良い治療を目指して行きます。

篠崎技術士事務所へのお問合せ。