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膝痛のスペクトル解析
2021年10月26日作成2024年8月19日更新
医学的に異常が確認できない膝痛。全く別の目「工学の目」で見たらどうなるでしょうか?
当事務所では膝痛の人の重心バランス波形を解析し、どのような状態になっているのか? 力学的思考での調査と評価を実施しました。
はっきりした原因が無いにもかかわらず、右膝が腫れ、しかも右膝内側に痛みが発症している60代の女性の方。 整体施術でどの程度改善されたか?スペクトルで評価してみました。
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このページの目次
東京都葛飾区お花茶屋3-4-17
篠崎技術士事務所付属バイオメカニクス整体技研
1.膝痛は現在どんな状態か
膝関節の内側の痛みを調査するためには、膝がどんな状態なのか?どのような痛みなのか?また膝だけに注目せず、全身を見て調査する必要があります。 (画像は全てご本人の許可を得て使用しています。)
膝内側がどのように痛むのか?
膝内側関節がどのように痛むのか?どんなときに痛むのか?確り質問し、調査しました。 夜寝ている間も痛むときがある。 長時間立っていると痛くなる。 階段の上りが大変。
この痛みの原因を知るために、他に問題は無いか?身体全身を見て行きます。
下半身がむくんでいる。
膝以外に異常は無いか?姿勢検査の時チェック致しました。すると膝関節の内側部分に、膨らみを確認しました。
画像では分かりにくいですが膝内側に、ふっくらむくみが確認できました。
さらにうつ伏せに寝かせると、膝だけではなく股関節周りや臀部にもむくみが確認できました。これは確り全身を見て行く必要があります。
医学的に原因が分からない膝痛に悩む方は多いです。こんなにひどい状態なのに、なぜ異常が確認できないのか? 当技術士事務所では
現在どの様な状態なのか?
重心バランスはどうなのか?
どの程度改善されたのか?
そのために実施したのは、骨盤運動から重心バランスを算出。その重心バランス波形を高速フーリエ変換し、膝痛の状態や改善をスペクトルで評価致しました。 どのように実施したのか?以下一つ一つ説明して行きたいと思います。
2.膝痛の動作スペクトルを算出する
医学的に原因の分からない膝痛、工学的に見るとどうなるか?
当技術士事務所では、重心バランス波形を計測、高速フーリエ変換し、評価を開始しました。
2-1重心バランス波形を計測する。
まず膝痛の患者さんの腰部に、測定器を取り付けます。
この測定器で、骨盤の前後左右上下の動作を測定します。
測定する動作ですが、膝痛の方でも完全に実施できる「足踏み運動」を計測します。
腰部に測定器を取り付け、そのまま足踏み運動を実施します。
2-2床面重心バランスに変換
足踏み運動の3軸加速度波形を二足歩行ロボットの原理で、床面重心バランスに変換します。(下図参照)
すると測定された3軸加速度波形は、下図のようになります。
青線が左右の重心バランス波形、赤線が前後の重心バランス波形です。緑の線は骨盤の捻り角速度です。
2-3スペクトルで確認する。
波形を見ただけでは、どのような成分が含まれた波形なのか?わかりにくい状態です。そこで足踏み運動に、どのような波形が含まれているのか?教えてくれるのが高速フーリエ変換です。
検出された床面重心バランス波形を高速フーリエ変換し、周波数スペクトルで表現、状態を確認します。 スペクトルは一般的に次のような形で出力されます。これは膝痛の無い方のスペクトルです。
青い線が左右床面重心バランス波形、赤い線が前後床面重心バランス波形のスペクトルです。
青い線は1Hzの部分にピークがあります。多くの人は一秒間に一度の周期で足踏み運動しています。
1秒間に一度の周期で足踏みをすれば、前後の周期は2Hzとなります。よって赤の線は2Hzの部分にピーク値があります。
しかし膝痛のある方は、以下の図のようなスペクトルを示すことが多いです。
正常な方には見られない、前後のスペクトル1HZの部分が検出されます(矢印)。膝痛のため重心バランスに差が出ているため、と考えられます。
この矢印部分のピーク値を消して、正常なスペクトルにしたい。
どの様な整体をすれば消すことができるのか?
整体によりどの程度改善されたのか?
改善法と評価を実行しました。
3.膝痛の改善とスペクトル結果
それではこの患者さんが、どのような床面重心バランス波形をし、どのようなスペクトルになっているのか? 早速改善するための調査を実施しました。
膝痛で外出が困難なため、ご自宅まで出張整体で対応しました。
3-1初めての整体時
ご自宅に伺うと大変辛そうで、迅速な対応が必要だと判断できました。 膝の部分が大きく膨れ、痛みも強くなっていました。 関節リュウマチも疑いましたが、そのような診断は受けていない、との事でした。
足踏み運動なら何とか行える・・・
という事で、測定させていただきました。
今回の患者さんの前後左右重心バランス波形のスペクトルです。普通の膝痛の様な波は確認できませんでした。 むしろ青い線(左右)の乱れが多く、股関節痛の方に見られるスペクトルが確認できました。振幅も小さく重心バランス波形に、力を感じられませんでした。
実際股関節の部分にも腫れがあり、この影響もあるのでは?と推定いたしました。
3-2膝痛対策の整体
今回の問題点を解決るため、以下の整体で対応することとしました。
膝の痛みを軽減させる整体をする。
股関節調整の整体をする。
内蔵機能を活発化させる。
以上の目的を決め、整体を実施しました。整体は数回行いますが、そのたび重心バランス波形を高速フーリエ変換し、変化を確認します。
膝の痛みを改善させる。
膝を痛めている方に、強い施術は行いません。経絡指圧整体で、優しく改善して行きます。
右手で脚を固定させ、左膝で経絡指圧して行きます。変形性膝関節症の痛み止め効果もある整体です。
股関節を調整する。
股関節痛や腰痛、産後の骨盤矯正に使用されている整体法です。産後のお母さんに評判の良い整体法です。
左手で腹部を軽く圧迫、左膝で脚部を固定、右手の平で経絡指圧して行きます。
内蔵機能を活発化させる。
この方は便秘などの症状もあり、内蔵機能の低下も考慮しました。内蔵機能が低下すると身体がひずみます。身体がひずむと内蔵機能が低下します。 この悪循環を改善して行きます。
腹部経絡指圧は内蔵機能を活発化し、便秘の改善や不快症状を根本から改善させて行きます。
3-3スペクトルで整体効果確認
1~2回目の整体で、身体全体のむくみが取れ、便秘も解消されました。整体が確り作用したため、代謝が大変良くなったと考えられます。
左が整体前、右が整体後です。むくみがやや改善していると考えています。
しかし膝痛は改善できませんでした。当然スペクトルの改善も確認できませんでした。 なかなか効果に結びつかない、苦しい整体となりました。 常に患者さんと話し合い、整体法を少しずつ変化させて行きました。
膝痛が改善され始めたのは、8回目の整体が終わった時でした。膝のむくみが取れ、痛みもかなり軽減していたのです。そこでスペクトルで確認してみました、
上図がその時のスペクトルです。形がかなりきれいになりました。左右の動作も改善されたようです。 股関節痛の人に表れる形も確認できません。
ここでようやく前後スペクトルに、膝痛特有の柱が見つかりました。前後のスペクトル(赤い線)が1Hz付近に小さな柱があります。 膝痛以外の問題が解決され、膝痛特有の波形になったのかもしれません。
3-4スペクトル膝痛改善確認
整体の効果が徐々に出てきて、膝の痛みも軽減してきました。9回目の整体後、再び足踏みの床面重心バランスを測定。スペクトル表示してみました。
前後スペクトル(赤い線)の1Hz付近の柱が消滅しました。膝の痛みもほとんどなくなり、現在元気に仕事に行かれています。
3-5スペクトルデータまとめ
以下にスペクトルのデータをまとめました。
はじめての整体時
膝痛特有のスペクトルは確認できませんが、左右のスペクトルがやや不安定になっています。
膝痛が軽減した時
他の部分が改善されたため、膝痛特有の前後スペクトルが確認できました。
膝痛が改善した時
膝痛特有の周波数が無くなり、健康な方と同じスペクトルになりました。引き続き測定と整体を続けていきます。
4.今後の課題
まだ新しい整体技術です。これから解決して行きたい課題も多くあります。ロボット技術関係の方、医療関係者の方からご意見いただければ幸いです。
4-1膝痛のスペクトルをさらに吟味
膝痛のスペクトルは、坐骨神経痛の方にも見られる形です。膝痛の人と坐骨神経痛の人では、どの様に違うのか?違う原因は何か?などを確り理論的に吟味することが必要です。
現在は前後のスペクトルに注目していますが、これからは左右のスペクトルとの因果関係も調査していく必要があります。
データもかなりそろってきたので、統計的な処理も始めています。
4-2筋肉を直動アクチュエーターとして
筋肉は工学的には「直動アクチュエーター」になります。骨盤がどの様なメカニズムで動いているのか?膝痛発生の工学的要因は無いか?
などを詳しく分析して行くことが必要です。
これら考察が、原因不明の膝痛の改善と解明に繋がると確信しています。
4-3医療機関との連携を深めて
より研究を進めるには、やはり人体のプロフェッショナルである、医療関係者との連携が必要です。
しかしながら未だ医学と工学の壁は厚い状態です。
この点をどのように解決して行くか?が今後の大きな課題の一つになります。
大学や日本技術士会の人達と協力し、この問題を解決して行きたいと思っています。
4-4自己紹介
名前:篠崎博文
東京都葛飾区出身、元機械エンジニア。
経歴
葛飾区立上千葉小学校、双葉中学校卒業
1984年 中央大学理工学部卒業
1984年~2005年
企業でエンジニアとして活躍しながら整体を学ぶ。
2006年~ 整体師
20011年~
中央大学理工学部兼任講師
2012年~ 技術士(機械部門)
資格
二級工業科教員免許
包装機械設計士
技術士(機械部門)
専門のロボット技術を人体に応用すれば、必ず原因不明の痛み改善に繋がるだろう!
これが整体を始めたきっかけでした。